物価が上がり続けるのにお給料の上がり具合がそれについていかない昨今、Wワーク、副業を行おうと考えている方も多いのではないかと思います。
Wワーク、副業では時給の高い夜勤を考える方もおられることでしょう。
そこで「大丈夫かな?」と思うのが法定労働時間について。
こちら法定労働時間を越えてしまうと時間外割増がかかってしまう場合があります。
そしてその時間外割増を払う義務があるのは「後に契約した会社」となります。
そしてこの複雑な勤務パターンの場合、会社の採用担当も詳しくなくスルーしてしまうことも多いとのこと。
後で気づいてトラブルになりかねないこのパターン。
求人の応募する前に先にしっかり確認しておきましょう!
法定労働時間とは何か?
法定労働時間とは何でしょうか?
厚生労働省は以下のように定めております。
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
厚生労働省
では、これを守れなかった場合どうなるのでしょうか。
(4)賃金台帳の適正な調製
厚生労働省
使用者は、労働基準法第 108 条及び同法施行規則第 54 条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこと。
また、賃金台帳にこれらの事項を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合は、同法第 120 条に基づき、30 万円以下の罰金に処されること。
さて、Wワークの場合はどうなるのでしょうか。
「後に契約した会社」が気を付けなければならないそうです。
労働相談にて伺ったのですが、それを認識していない会社がとても多いとのこと。
契約前にご自身で副業先の会社にしっかり確認しておく必要がありそうです。
割増賃金とは?割増し賃金について知っておこう
日勤と夜勤のWワークを行う場合、割増賃金が関わってくることが多いです。
まずは割増賃金について知っておきましょう。
Q.法定労働時間と割増賃金について教えてください。
A.労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めています。ただし、商業、映画・演劇業(映画製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業であって、常時使用する労働者が10人未満の事業場は、特例として週法定労働時間を44時間と定めています。
使用者は、過半数組合(過半数組合がない場合は過半数代表者)と労使委協定を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、法定労働時間を超えて労働させることができます(これを「時間外労働」といいます)。
時間外労働には限度が定められており、原則として1か月45時間、1年360時間を超えないものとしなければなりません。
また、時間外労働をさせる場合、割増賃金の支払が必要になります。時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上となります。例えば、通常1時間当たり1,000円で働く労働者の場合、時間外労働1時間につき、割増賃金を含め1,250円以上支払う必要があります。
法定労働時間は上記のとおり定められていますが、例外として、労使協定が締結されている等の条件の下、一定期間内を平均した労働時間が法定労働時間を超えないように労働時間を定めることができる制度があります。これを変形労働時間制といいます。労働基準法では、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制を定めています。
割増賃金には時間外労働に対するもののほか、休日労働に対するものと深夜業に対するものがあります。休日労働とは、労働基準法で定められた法定休日(週1日又は4週を通じて4日。曜日は問いません。)に労働させることをいいます。休日労働に対する割増賃金は、通常の賃金の3割5分以上です。深夜業とは、午後10時から翌日午前5時までの間に労働させることをいいます。深夜業に対する割増賃金は2割5分以上となります。
割増賃金は重複して発生することがあります。時間外労働が深夜業となった場合、合計5割以上(2割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要がありますし、休日労働が深夜業となった場合は6割以上(3割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要があります。しかし、法定休日には法定労働時間というものが存在しませんので、休日労働をさせた場合は時間外労働に対する割増賃金は発生しません。よって、休日労働に対する割増賃金と時間外労働に対する割増賃金は重複しません。
厚生労働省
Wワーク(副業)のときに関わってくるものは大きく3つになります。
時間外労働をさせる場合の割増賃金 | 通常賃金×1.25 |
深夜業(22:00~5:00) | 通常賃金×1.25 |
休日労働 | 通常賃金×1.35 |
時間外労働とは、法定労働時間の1日8時間1週40時間を超えた場合の労働のことを言います。
休日労働とは、「労働基準法で定められた法定休日(週1日又は4週を通じて4日。曜日は問いません。)に労働させること」になります。
Wワークや副業の時の労働時間の計算はどう考える?
Wワーク(副業)を行う場合は、1日に8時間、1週間に40時間を守るようにしましょう。
ではその計算をどう考えればよいのでしょうか。
<例①>
基本の時給を1000円と仮定して考えてみましょう。
メインバイト 9:00~12:00→労働時間 3時間 1000円×3=3000円
副業バイト 17:00~20:00→労働時間 3時間 1000円×3=3000円
この場合3時間+3時間=6時間となるため、法定労働時間内の勤務となります。
<例②>
メインバイト 09:00~12:00→労働時間 3時間 1000円×3=3000円
副業バイト 22:00~24:00→労働時間 2時間 1250円(基本時給1000円×深夜割増1.25)×2=2500円
この場合3時間+2時間=5時間となるため、法定労働時間内の勤務となります。
※22時から5時までは深夜割増がかかるため、この場合22:00~24:00の2時間分は基本時給に深夜割増分1.25をプラスした分の時給になります。
<例③>
メインバイト 09:00~15:00→労働時間 6時間 1000円×6=6000円
副業バイト 16:00~19:00→労働時間 3時間 1000円×2 と、1250円(基本時給1000円×残業割増1.25)×1=3250円
この場合6時間+3時間=9時間となるため、法定労働時間内8時間、法定労働時間外1時間の勤務となります。
※法定労働時間外1時間は基本時給に時間外割増分1.25をプラスした分の時給になります。
<例④>
メインバイト 09:00~15:00→労働時間 6時間 1000円×6=6000円
副業バイト 20:00~24:00→労働時間 4時間 1000円×2 と、1500円(基本時給1000円×(残業割増1.25+深夜割増1.25))×2=5000円
この場合6時間+4時間=10時間となります。法定労働時間内8時間、法定労働時間外勤と深夜業勤務の2時間の勤務となります。
※22時から5時までは深夜割増がかかるため、この場合22:00~24:00の2時間分は基本時給に深夜割増分1.25をプラスした分の時給になります。
※法定労働時間外2時間は基本時給に時間外割増分1.25をプラスした分の時給になります。
ややこしいですね!
もし不安な場合は、都道府県、市町村にある労働相談サービスに聞いてみるのもいいかもしれません。
夜勤と日勤を同じ日に行う場合の労働時間の考え方について
ではWワーク(副業)で1日のうちに日勤と夜勤を混在する場合を考えてみましょう。
これが一番ややこしいですよね。
筆者も実際にWワークを考えた時にぶち当たった超難問でした。
ネットを検索しても詳しく載っていないし、会社の人も知らなくて困った末に労働基準局に電話をして相談しました。
ではその時に教えて頂いたことを含めて、例を作成してみました!
<例⑤>
メインバイト 09:00~15:00→労働時間 6時間 1000円×6=6000円
副業バイト 20:00~02:00→労働時間 6時間 1000円×2 と、1500円(基本時給1000円×(残業割増1.25+深夜割増1.25))×4=8000円
この場合6時間+6時間=12時間となります。法定労働時間内8時間、法定労働時間外勤と深夜業勤務の4時間の勤務となります。
※22時から5時までは深夜割増がかかるため、この場合22:00~02:00の4時間分は基本時給に深夜割増分1.25をプラスした分の時給になります。
※法定労働時間外4時間は基本時給に時間外割増分1.25をプラスした分の時給になります。
この例④において、「あれ?24時をまたいでいるから、24時からの勤務は次の日になるのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
実はこの場合、「勤務開始時間~勤務終了時間」がひとまとめの業務になり、勤務開始時間の日にちの業務になるのです。
つまり月曜日22:00~火曜日7::00までの勤務の場合は、火曜日に入っている分もすべて月曜日の勤務となるわけです!
わかりにくいですね!
筆者が電話した労働相談の担当者の方も、「これは会社の人たちも知らない人が多いので、疑問を感じたら聞いてみてくださいね」と言われていました。
ご自分が働く会社の求人内容で疑問がある場合は、労働相談サービスに電話してみることをお勧めします。
まとめ
Wワークで気を付けるべき法定労働時間について、そして日勤と夜勤開始日を同日に行う場合にはどうなるのかについて調べてみました。
Wワーク(副業)で夜勤を考えている方は多いと思われます。
しかしいまいち求人を出す会社側はそれを認識していない場合が多く、「あれ?」となってしまうこともあるでしょう。
以上まとめていることを参考に、そしてそれでも不安な時は都道府県、市町村の労働相談サービスを利用して相談してみることをお勧めします。
なかなか難しい法定労働時間。
あとで発覚したら大変なことになる可能性もあるため、求人に応募する前に一度確認しておきましょう。
コメント